1980年代

2011.04.13

男はつらいよ 寅次郎心の旅路(1989年)

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九重本舗・玉澤の餡入りしほがま。しそ風味。

 私の映画の食べ物日記では、『縮図』に登場する石巻の様子を紹介したり、『独眼竜政宗』で亘理町荒浜発祥のはらこめしを作ったり、『青葉城の鬼』で仙台の九重本舗・玉澤の晒よし飴を紹介したり、『サイボーグ009超銀河伝説』『めぐりあう時間たち』『アウトレイジ』『海底2万マイル』『鯨神』『白鯨』『蟹工船』で石巻美人のおばさまたちからいただいた素晴らしい海の幸を紹介したりしてきました。
 
 石巻に縁がある私は、石巻を舞台にした映画『鯨と斗う男』(佐野周二、高倉健主演、津田不二夫監督)『港へ来た男』(三船敏郎主演、本多猪四郎監督)『アラスカ物語』(北大路欣也主演、堀川弘通監督)などいろいろずっと見たいと思っているのですが、ビデオにもDVDにもなっていないので、映画の冒頭に宮城県の松島町と、栗原電鉄が映る『男はつらいよ 寅次郎心の旅路』を紹介します。宮城県のものをいろいろ買って応援してあげてください。以下、アフィリエイターのようなブログになっております。


 


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 観光船の客で賑わう宮城県宮城郡松島町。瑞巌寺の参道でひと仕事終えた寅次郎(渥美清)が宛てもなく栗原鉄道に乗っていると、サラリーマンの坂口兵馬(柄本明)が線路に飛び込んで自殺をはかります。兵馬の自殺未遂は仕事で追い詰められたせいだと知った寅さんは、一緒に栗原市の旅館に泊まって芸者を呼び、兵馬を思いっきり遊ばせます。やりたいことを思いきりやれと寅次郎に言われた兵馬は憧れのウィーン旅行を決意するのですが、寅次郎と一緒に行くと言ってききません。兵馬に押し切られてやむなくウィーンにやってきた寅次郎ですが、旅行ガイドの久美(竹下景子)と出会ってガゼン元気になり……という話です。


 


 私の父は邦画全盛期の一九五〇年代に青春時代を送った世代ならではで、喜劇大好き、アクション&戦争映画もっと大好き、しみじみした地味な作品も好き、スターから脇役まで俳優をチェックするのも好き、というシンプルな映画ファンですが、『男はつらいよ』がテレビで放送されても見ませんでした。『Mr.BOO』さえ(?)喜んで見るのに、『男はつらいよ』を見ないのが不思議で、どうして?と尋ねると、父の答えはおいちゃんが森川信じゃないとつまらないから、というものでした。子どもの私にしてみれば味のある名優がおいちゃんを演じてそれでいいじゃないと思ったものです。新劇の俳優である松村達雄と下條正巳と違って、森川信は喜劇人。同じ“おいちゃん”でも前者と後者は面白さがまったく異なり、昔の日本の底抜けの喜劇映画を見てきた父には前者のおいちゃんでは物足りなかったと悟るのはそれからずいぶん後になってからでした。


 


 このシリーズ第四十一作はおいちゃんは下條正巳、寅次郎役の渥美清もずいぶん年をとって声がカサカサしていて魅力に乏しいところは否めないのですが、今では廃線になってしまった栗原電鉄が映っているところはポイントが高いのではないでしょうか。淡路恵子が演じるマダムも気になるのですが、淡路恵子と竹下恵子が出る『男はつらいよ』なら、三船敏郎の素晴らしい愛の告白シーンが見られる第三十八作『知床旅情』のほうが好きです。


 


 松島町は塩竈市と東松島市の間にある町です。松島町の代表的な銘菓というと、「松島こうれん」という甘くて白いせんべいなのだと思われますが、購入できなかったので、お隣の塩釜の銘菓「しおがま」を紹介します。松島こうれんは店舗、工場、事務所が水没したそうで、八月をめどに販売を再開できるよう頑張っていると公式サイトに書いておられます(二〇一一年七月二十四日より営業再開されたそうです!)。池袋の宮城ふるさとショップなどでも扱いがあるようなので、見かけたら買ってあげてください。公式サイトには通販コーナーもあるので、お店を再開されたら通販で購入して応援することもできると思います。


 


 しおがまというと、名前の通り塩釜神社のお膝元にある丹六園や梅花堂の銘菓“志ほがま”が有名ですが、東京で買えるのは九重本舗・玉澤のしおがまだけでした。しかし九重本舗・玉澤も『青葉城の鬼』日記で紹介したように、創業三百三十六年の老舗で、とみに最近は「霜ばしら」が女子に大人気です。実は私はしおがまを食べるのは今回が初めてでした。見た目からすると落雁のような味を想像していたのですが、落雁のようにホロホロと崩れてシュワッと溶けるような食感ではなく、もっとモッチリしてました。歯にくっつかない和風ヌガーみたいな? 


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 塩釜というとしつこいですが『縮図』『サイボーグ009超銀河伝説』で紹介した、徳田秋声著『縮図』の銀子も塩釜に行ってました。そして『縮図』といえば、岩波文庫の改版には出てこない「中大黒」「アルプス温泉」「千登里」という店名が、石巻の割烹・滝川の近くにある「『縮図』のおもかげ」という立て札に書いてある不思議を解き明かしに、国会図書館に行ってきました。調べたのはもちろん、『縮図』が連載された昭和十六年(一九四一年)の都新聞です。ところが、連載時の記述も岩波文庫とほとんど変らず、そんな店名はどこにも書いてありませんでした。こうなると立て札の主である石巻教育委員会に出典を聞いてみるしかないのでしょうが、今はそんなこと問い合わせてる場合ではないですね。



 国会図書館に行ったついでに「読売評論」一九五〇年五月号に、銀子のモデルとなった小林政子が寄稿した「『縮図』のモデル銀子 ――徳田秋声先生との思い出」というエッセイも読んできました。それも小林政子が徳田秋声と出会った後の話が主で、当然ですが、石巻の話はひとつも書いてありません。そこでもついつい食べ物の話に目がいってしまったので、ついでに紹介しておきます。銀子と均平のように、秋声と政子は帝国ホテル、資生堂、竹葉亭と美味しいものを食べ歩いていたようです。竹葉亭では秋声は好物のうなぎ、政子は鯛茶と決まっていたとのこと。そして秋声が執筆している間、政子はいつも同じメニューを用意しておいたそうです。


青豆、ふき豆などをわたしは毎晩用意しておいた。鳥のひき肉とゆばを甘辛く煮たのを丼一杯用意しておくと、いつもそれをきれいにたいらげていた。


 普段の食事は下記の通り。和食と洋食が混じっているのが面白く、現代に比べれば質素なメニューなのですが、なんだか仲睦まじく食べている雰囲気がいいなと思います。


わかめの味噌汁が大の好物。それと焼き海苔か何か。鰯に酢味をつけて煮付けた。朝食前に一合の牛乳に生玉子をときまぜたのを飲む。トーストも好きで、自分で上手に焼いた。バタをつけてわたしにも食べさせたりした。


 


 『伝統こそ新しい オーボンヴュータンのパティシエ魂』(朝日新聞社刊)によると、オーボンヴュータンの河田勝彦シェフはフランスで修行中、伝統菓子を研究しにしばしば田舎へ足をのばしたそうです。菓子を探すために、まず探すのは教会で、地元の伝統菓子と教会は必ずセットであるものなのだそうです。おもしろいなあと思うのは日本も同じということです。瑞巌寺と松島こうれん、塩釜神社と志ほがま。たとえ伝統菓子がなくても、有名な神社や寺の近くには必ず美味しい和菓子屋があるもんだなあと、門前仲町や水天宮などに行くとことさらにそう思います。




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2011.03.27

サイボーグ009超銀河伝説(1980年)

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美しい刀のような宮城県石巻市のサンマ。

 私の映画の食べ物日記では、『縮図』に登場する石巻の様子を紹介したり、『独眼竜政宗』で亘理町荒浜発祥のはらこめしを作ったり、『青葉城の鬼』で仙台の九重本舗・玉澤の晒よし飴を紹介したり、『めぐりあう時間たち』『アウトレイジ』『海底2万マイル』『鯨神』『白鯨』『蟹工船』で石巻美人のおばさまからいただいた素晴らしい海の幸を紹介したりしてきました。

 私は富山出身なのですが、なんだか東北出身者や東北に進学・転勤する人に縁があり、特に近年は宮城県石巻市出身の友人ができたおかげで、石巻市や東松島市に遊びに行く機会が増え、毎年おいしい魚介類をいただき、転職中には石巻で短期間ですがアルバイトまでさせてもらい、たくさんの石巻の方々にお世話になってきました。石巻は第二の故郷と思っています。今回の大震災はまだ被害の全容も明らかでなく、行方のわからない方も大勢いるという状況ですが、とにかく私にできる支援を長く続けていこうと思っています。今はせっせと物資を送っているところです。石巻市の旧北上川の中瀬も大変な被害を受けていますが、そこに建つ石ノ森萬画館の白いドームは流されていないようなので、営業を再開したら、日本全国のアニメ・マンガおたくのみなさんはマンガッタンライナーに乗って石ノ森萬画館に行き、『サイボーグ009』の002に跨ってプリクラを撮り、おいしい海の幸をいっぱい食べて、地酒の日高見(←おいしいよ!)を飲んで、お金をポロポロと石巻に落としに行ってほしい! ということで宮城県登米市出身の石ノ森章太郎先生原作『サイボーグ009超銀河伝説』を紹介します。


 


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石巻を象徴する風景。中瀬の左端に石ノ森萬画館が見える。


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石ノ森萬画館。現在の様子は公式サイトの最新情報コーナーで確認できる。


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再び仙石線にマンガッタンライナーが走る日が早く訪れるよう祈っている。


 9人のサイボーグたちとギルモア博士が平和になった地球で平穏に暮らしているところから映画は始まります。ギルモア博士が改めて静かな生活のありがたみをかみしめていると、001が地球への敵の襲来を予言します。宇宙船に乗ってやってきたのはまだ少年の宇宙人、サバです。彼は故郷のコマダー星が大帝王のゾアに滅ぼされたため、地球へ脱出してきたのでした。そしてサイボーグたちの前にもゾアが現れ、次の標的が地球であることが告げられます。さっそくサイボーグたちはサバの宇宙船を改造して戦いに備えるのですが、その隙にギルモア博士と001がゾアに誘拐されてしまいます。改造した宇宙船イシュメールに乗って宇宙へ出発したサイボーグたちは、同じくゾアに襲来されたファンタリオン星の女王タマラと出会い…というストーリーです。


 


 トキワ荘グループというと、私は富山出身なのでまず藤子不二雄先生に愛着があり、そのほか手塚治虫先生、赤塚不二夫先生は好んで読みましたが、恥ずかしながら石ノ森章太郎先生はほとんど読んだことがありませんでした。TVアニメの「サイボーグ009」もジョーやフランソワーズの見目麗しさや加速装置に惹かれたものの、稽古事のせいでほぼ見ていません。しかし姉が「暗い話やわ」と言っていたことだけはおぼえています。せっかくアニメを見たので、秋田文庫の原作も読んでみました。


 


 宇宙船イシュメールは尾をピンと反らす鯨にも見え、帆にいっぱいの風を受けた船のようにも見えます。そんなデザインとイシュメールという名前で連想してしまうのはメルヴィル著、そしてジョン・ヒューストン監督によって映画化された『白鯨』です。そして物語の骨格にも『白鯨』の影響がうかがえる気がします。誰にもコントロールできない宇宙の壮大なエネルギー、ボルテックスがモービー・ディックで、ボルテックスに魅せられて狂ってるとしか思えないゾアがエイハブ船長でしょうか。いや、常に死に場所を探していたんだと言って自爆し、人間の身体で復活できたのにサイボーグに戻してくれという004がエイハブ船長なのかもしれません。鯨といえば、石巻市の鮎川は日本有数の捕鯨基地だった町として有名です。現在も調査捕鯨を行っているので石巻のスーパーマーケットには鯨が並び、家の食卓にも鯨がのぼるそうです。謎に満ちた宇宙を鯨に見立てた石ノ森先生の発想は、もちろん小説や映画の影響が大きいのでしょうが、神秘的な鯨を身近に感じられる土地で生まれたことにもなにかしらの影響を受けたということはないでしょうか。


 


 


 イシュメールはそもそも旧約聖書の「創世記」に出てくる人物で、子どもができない妻・サラの頼みで、夫・アブラハムがエジプト出身の女奴隷・ハガルとの間につくった息子です。しかしサラもようやく息子・イサクを授かると、ハガルはイシュメールとともに荒野に追放されます。成長したイシュメールは弓の達人となり、その子孫はそれぞれの部族の十二人の首長になって、現在のアラブ人の先祖となったとされているのだそうです。メルヴィルによる『白鯨』の原作小説のイシュメールも、継母のいびりに耐えかねて故郷を飛び出した無宿者でした。高い戦闘能力を持ち、故郷から追放されたイシュメールは、まるでサイボーグたちそのもの。『サイボーグ009超銀河伝説』は人にオススメしにくい面が多々ある作品ですが、サイボーグたちのキャラクターには今見ても十分惹かれます。サイボーグたちの背景を全開にした、ダークなSFアクションヒーローアニメ長編を作ったら今こそ面白いんじゃないかと思うくらいです。


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石ノ森萬画館のエレベーターに描いてあるこの絵があったかくて好き。


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石ノ森先生が通った古い映画館、岡田劇場は津波で全壊してしまった。


  


 映画の食べ物については、宇宙船イシュメールの中で006こと張々湖が餃子と饅頭をつくるシーンがありました。唐突にもサイボーグたちはコックピットで餃子を手づかみで食べ始めるのですが、そのとき007ことグレート・ブリテンが「たまにはもっと気の利いた食べ物、アイリッシュ・シチューでもつくってくれよ」と張々湖に言います。原作マンガの誕生編を読むとグレート・ブリテンの元の姿は酒びたりの落ちぶれた俳優としか描かれていませんが、007はアイルランド人であるということなんでしょうか。しかし今回は石巻キャンペーン日記なので、ここでは餃子でも饅頭でもアイリッシュ・シチューでもなく、以前、石巻から送ってもらったサンマを紹介します。石巻のサンマは銀箔を貼ったようにピカピカ輝き、脂がのって太く勢いよく反り返り、まさに当て字のとおり美しい刀のようでした! 氷水を張った発泡スチロールに入れてクール宅急便で取り寄せることができるので、石巻が落ち着いたらぜひ地元の店からたくさん買ってあげてほしいです。


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 以前、『縮図』日記で紹介した割烹・滝川(宮城県石巻市中央1-13-13)は、津波によって乗り上げた船が店の真ん前に転がっていて、料理長が「調理場を使って炊き出しをやりたいのに、こう船があっては何もできない」と語っている映像をNHKのニュースで見ました。以前の日記では、滝川の近くに「『縮図』のおもかげ」という案内があり、その中に岩波文庫の改版『縮図』には出てこない「中大黒」「アルプス温泉」「千登里」といった店名が書いてあるのが気になると書いたのですが、せっかくなので一九四六年に小山書店から出版された『縮図』初版を調べてみました。しかし、石巻については岩波文庫版と特に大きな違いはありません。こうなったら連載された都新聞を見てみるしかないと思い(昭和十六年六月二十八日から九月十五日まで八十回連載で中断)、国会図書館まで行って調べることにしたのですが、それについてはまた後日。


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割烹・滝川の営業が一日も早く再開されることを祈っている。


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営業を再開したら滝川へ釜飯を食べに行ってあげてほしい。


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2010.12.23

ザ・デッド/「ダブリン市民」より(1987年)

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真っ赤なジャムをかけて食べるブランマンジェ。

 アッという間に一年が経ち、またクリスマスがやってきてしまいました。クリスマスといえば、今年は柳瀬尚紀訳でやっと読んだジェイムス・ジョイス著『ダブリン市民』の最終章「死せる人々」のクリスマスが印象的でした。 ジョイス作品は、英語や古典の知識が無いと読んでも意味ないかなあと敬遠していたのですが、『ダブリン市民』なら比較的理解しやすいと聞いて読んでみたのでした。十七歳で死んでしまった会ったこともない青年への哀悼が妻への愛に転じ、果てはすべての死者や生者にあまねく注がれる思いに広がっていく様子が、アイルランド全土に静かに降り頻る雪になぞらえて書かれてあり、雪にまみれて大きくなった私は胸がいっぱいになってしまいました。そんな「死せる人々」を映画化したのが、ジョン・ヒューストン監督『ザ・デッド/「ダブリン市民」より』です。


 


 原作でも印象的だったアイルランド民謡「オーリムの乙女」のシーンが映画でもとても印象的でした。暗い階段の途中でアンジェリカ・ヒューストンが足を止めて歌をじっと聴くだけという映像もいいのですが、「オーリムの乙女」という歌が予想を遥かに超えた美しい歌だったので、映画によって本物を聴く機会を得られてよかったです。ちょっとだけ「シルバー・ベルズ」(作曲:ジェイ・リビングストン、レイ・エヴァンス)のサビに似ているので、最初はクリスマスソングが映画音楽のモチーフにされているのかなあと思って見ていたら、後にそれは「オーリムの乙女」の旋律であることがわかりました。


 


 「オーリムの乙女」と同様に、映画で本物が見られて嬉しかったのが、クリスマスパーティーの料理です。映画に登場するのはアップルソースなしのガチョウのローストや特大のプディング、レモネード、長いセロリの茎、真っ赤なジャムのかかったブランマンジェの塊で、原作より種類は少ないのですが、“生活は質素だけど食生活は高級にする主義の三人の女主人”のクリスマス料理をじっくり見ることができます。


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Blind Vision [12 inch Analog]


 最初に登場する食べ物が、大きくて白いブランマンジェでした。ブランマンジェなんて子どもの頃は食べたことも聞いたこともなかったですが、私が知らないだけで、かなり古くからある定番デザートのようです。南北戦争中の北軍側のアメリカが舞台のジョージ・キューカー監督『若草物語』でも、風邪をひいて引き篭もっているローリー(ダグラス・モンゴメリー)にジョー(キャサリン・ヘプバーン)が渡す見舞の品が、深めの器に入れられ、花びらで飾られたブランマンジェでした(原作では緑の葉っぱの冠とゼラニウムの花びらで飾られていた)。一方、南軍側の『風と共に去りぬ』でも、南北戦争後の飢えたスカーレットが思い出すかつてのタラの食卓には「ヴァニラ入りのブランマンジェ」が並んでいたし、最初の夫の死後にレット・バトラーが訪ねてくる場面で、ノックの音を聞いてスカーレットが考えることは「近所の人々がブランマンジェでも持って葬式の話をするためにきてくれたのだろう」ということでした。


 



 『ザ・デッド』の舞台は一九〇四年のダブリンということで、一八六一年にイギリスで出版された『MRS. BEETON'S BOOK OF HOUSEHOLD MANAGEMENT』のブランマンジェのレシピを調べてみました。


cake ビートン夫人のくず粉のブランマンジェ

【材料】 1tbs=約15cc
・くず粉 4tbs(山盛り)
・砂糖 適宜
・牛乳 750cc
・レモンの皮
・ヴァニラ(その他、香り付けできるもの)

【作り方】
(1)少量の冷たい牛乳で、滑らかになるまでくず粉を混ぜる
(2)残りの牛乳を沸騰させ、ヴァニラ、レモンの皮を加えて20分間煎じる
(3)(1)のくず粉に、(2)の牛乳を注いでかき混ぜ、シチュー用鍋に移す
(4)砂糖を加えて、2~3分間静かに沸騰させる
(5)型を冷たい水ですすぎ、(4)を注ぎ、固まるまで置いておく
(6)とろ火で煮込んだ果物、ジャム、冷たいカスタードソースなどと一緒に盛り付ける



 ブランマンジェ=アーモンドの風味、というわけではないんですね。この本にはもうひとつ、小麦粉でとろみを付けて、卵黄とバナナと牛乳とヴァニラで作るバナナブランマンジェというレシピも紹介されていました。ビートン夫人が使っている“くず粉”はある小説に登場する面白いアイテムなのですが、長くなるのでそれについてはまた別の機会にということにして、私はゼラチンを使いました。そして、ついつい生クリームを入れて濃厚ブランマンジェにしちゃいました。アーモンドプードルとスライスアーモンドの両方で試してみましたが、よく言われるように、スライスアーモンドの方が香りが牛乳に移りやすいようです。でも安いアーモンドを使っているせいか、量が少ないせいか、修行が足りないせいか、なかなかいい香りにならなくて難しいです。


cake ブランマンジェ

【材料】6人分
・牛乳 400cc
・生クリーム 100cc
・粉ゼラチン 8g(少しやわらかめ)
・砂糖 30g
・スライスアーモンド 90g
※ゼラチンを水でふやかしておくなどは商品ごとの説明を参照

【作り方】
(1)生クリームを五分立てにして冷蔵庫に入れておく
(2)牛乳に砂糖を入れて火にかけ、端に泡が出たら火を止めてスライスアーモンドを砕きながら入れる
(3)約10分間、沸騰させないようにして煮るか、フタをして蒸らすかして、アーモンドの香りを牛乳に移す
(4)(3)を漉してゼラチンを溶かす
(5)再度漉してボウルを氷水で冷やしながら混ぜる
(6)とろみがついたら生クリームを混ぜて型に入れて冷やす


 『ザ・デッド』の溢れるような食べ物、エロ、降り頻る雪、死者を見てふと思ったのは、実は『おくりびと』が原作と同じテーマで撮られていたなら、『ザ・デッド』のような佇まいの映画になる可能性もあったのでは?ということです。それだとあんなに大ヒットはしなかったかなあ。


 


 

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2010.08.20

黒い雨(1989年)

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閑間重松の八月六日の朝食は浅蜊の塩汁と脱脂大豆。

 小津安二郎映画や成瀬巳喜男映画のヒロインも素敵なのですが、私がいま最もシンパシーを感じるのは、今村昌平作品に出てくるヤケクソのヒロインたちです。今村昌平が脚本で参加している『キューポラのある街』のジュンもヤケクソ気味な女の子でした。日本の女子全員にオススメしたいです。それなのにDVDでレンタルできる今村作品は一部のみでとっても残念です。『黒い雨』もレンタル屋にはVHSしかないのですが、せめて夏くらいは戦争に関する映画を見ようと思って借りてみたら、特典映像の未公開ラストシーンとメイキングが気になってしまい、結局DVDを買っちゃいました。


 


 


 


 原作の井伏鱒二著『黒い雨』(新潮文庫)については、猪瀬直樹著『ピカレスク 太宰治伝』(文春文庫)や栗原裕一郎著『盗作の文学史』(新曜社)などによって、かなりの部分が重松静馬著『重松日記』(筑摩書房)から引用されていることを知りましたが、そんな盗作本なら読まなくていい…とは言えない一冊です。原爆について知ることができる良書という価値を超えて、単純に、読み始めたら止まらないです。


 


 


 購入したDVDに収録されたメイキング映像を見たら、今村昌平が「毛ほども小津安二郎になるまいと川又昴と誓い合って撮った」「小津映画の芝居は嫌い」「でも実際(小津に)一番影響を受けた」と言っていて、そんなに小津作品を意識して撮ったんだとビックリしました。そういえば矢須子(田中好子)と閑間(北村和夫)が同じ部屋で布団を並べて寝るシーンがあってドキッとするのですが、あれはまさに『晩春』みたいです。原作では矢須子は閑間ではなく奥さんの方の縁戚っぽいのに、映画で閑間の姉の娘という設定が強調されているのは、『晩春』みたいなシーンを撮りたかったから? 血縁関係のない叔父と姪を同じ部屋に寝かすのはさすがにマズイという配慮と、近親相姦的な雰囲気をほんのり漂わせる演出の両方があったのでしょうか。



 また、原作には出てこない悠一(石田圭裕)とその母(山田昌)も『麦秋』の矢部(二本柳寛)とその母(杉村春子)っぽいし、矢須子が実の父よりも原爆を共に経験した叔父叔母に親しみを感じる流れは『東京物語』っぽいです。そして小津映画といえば娘は「紀子」、奥さんは「志げ」ですが、偶然にも閑間の奥さんの名前は「シゲ子」なのでした。一九八九年に白黒映像で撮った理由のひとつには、小津っぽい世界を補強するためという理由もあったのでしょうか。


 


 今村昌平映画は登場人物が物を食べるシーンが多い(しかも、だらしなく食べる)というのが私の印象で、忘れられない食事シーンがいくつかありますが、この『黒い雨』は卓袱台を囲む食事シーンが多いにも関わらず、何を食べているかは映されません。一方の原作は、重松夫人のしげ子さんの「広島にて戦時下に於ける食生活」という報告書がそのまま引用されている箇所があるくらい、井伏鱒二は戦中の食事の記録にも力を入れているように感じます。例えば原爆が投下された八月六日の朝、閑間たちが何を食べたかというと、浅蜊の塩汁とご飯代わりの脱脂大豆なのだそうです。浅蜊は前日に御幸橋の下で掘ってきたもので、六個を三人で分けたと書いてあります。一人あたり浅蜊ニ個……。「脱脂大豆」ってどんなものなんでしょう。それすらも私にはわかりません。調べてみると現在では動物の餌や肥料に使われているものなんですね。


 


 レンタル屋にVHSしかなくていかにも見られてない雰囲気を漂わせている『黒い雨』ですが、被爆後の人や自然や町を素朴に淡々と記録した重松さんの日記を前にして井伏鱒二は自分の創作についてどんなことを考えたのかなあとか、小津安二郎っぽい世界を展開して真っ向から勝負を挑んだ今村昌平は小津に負けまいとして自分に何を課したのかなあとか、圧倒的な原作と小津に挑むあまり奇妙な後日談まで撮っちゃった今村昌平は何を思ってあの結末を封印したのかなあとか、原作にも映画にもいろんな火花が散ってて、いま見ても熱い作品でいいなあと思います。


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2010.06.08

1999年の夏休み(1988年)

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オムレツの道は長くて険しい。これじゃオムレツじゃなくて卵焼き。泣ける。

 今年のゴールデンウィーク、友人と大倉山記念館に行きました。すごい建物だなあと思ったら『1999年の夏休み』『RAMPO』『スパイゾルゲ』『ザ・マジックアワー』など、映画のロケ地によく使われているんですね。


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五月なので鯉のぼりが飾ってあった。


 訪問記念に金子修介監督『1999年の夏休み』を見てみました。かつて女の子だった私は、「美しい女の子に美しい男の子を演じさせる映画」というのがどうも自分にはまったく関係ないような気がして、かつ、よってたかって女の子にそういうことをさせる大人の男性たちが気持ち悪く思えて、見てなかったのでした。今はもう大人になってしまったせいか楽しく鑑賞しました。気持ち悪くて面白かったです。


 


 物語は萩尾望都先生の「トーマの心臓」の翻案なのだそうです。「トーマの心臓」は新書版、愛蔵版、文庫版などいろんな版で借りて買って読んで捨てて、を繰り返してきましたが結局、現在は私の手元にはありません。名作と言われるわりに絵が私の好みでなかったため、映画を見てそっか、こういう話だったかと思い出したくらい記憶も薄れていました。ある人の身代わりみたいな人が現れて、本人も周囲も身代わりにすぎないんじゃないかってことに苦しむんだけど、試練を乗り越えて自分を肯定できるようになって苦しみから解放されるという萩尾望都作品は、「メッシュ」とか「イグアナの娘」とか「A-A'」とか「半神」とか「マージナル」とかバレエ短編集などたくさんありますが、「トーマの心臓」もそういう話だったとは忘れてました。「わたしでいいの?」というジメジメした少女心に訴える、萩尾望都先生のそういう漫画が私は大好きでした。映画は結末も変えてあって、萩尾望都作品のような前向さはありませんが。


 


 


 


 実際の大倉山記念館は近所に賑やかな商店街などがあって、そんなに浮世離れした空間ではないのですが、映画では完璧な異世界に作り上げられていました。


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写真は露出もピントも失敗してるけど、実物は映画と同じエントランス。


 そんな異世界で少女たちは朝食を食べます。最初の朝食シーンは深津絵里ちゃんが作るオムレツです。ここで金子修介監督は異様に大きなフライパンを当時十五才の深津絵里ちゃんに持たせて未熟さを際立たせます。『デスノート』を見たときに女性の撮り方がネトネトしてて気持ち悪い監督だなあと思いましたが、同じく全体的に気持ち悪いこの映画の中でも、このフライパンのシーンは際立って見えました。少女のような少年が卵を食べるというのも気持ち悪いなと思ったら、ユーリこと和彦(大寶智子)は卵が嫌いという設定になってます。しかし深津絵里ちゃんが作るオムレツがきれいで美味しそうだったので、わが家でもプレーンオムレツに挑戦しました。


 


 生まれてから一度としてオムレツに挑戦すらしたことがなかったので、まさに苦行。料理が思い通りに仕上がらないって、なんてストレスが溜まるのでしょう。日本の洋食界のみなさん、帝国ホテル、資生堂パーラー、たいめいけん、おまけで石井好子は、どんなオムレツレシピを披露しているのか調べたものの、レシピ以前にオムレツをうまく回転させられません。これじゃオムレツじゃなくて卵焼きです。次のオムレツ映画を探しつつ、オムレツ修行します。下手すぎて泣けます。


 

 


 


 少女たちが未来のコンピュータで勉強するシーンも面白いです。未来のパソコンは、片手で操作して基板がむき出しで、ものすごく珍妙でした。『マイノリティリポート』に出てきた全身を使って操作するパソコンも、ものすごく疲れそうで笑っちゃいましたが、映画の中の未来のパソコン像を見るのは面白いです。下の写真の例のアレがわが家に届いたとき、私が描いていた未来のパソコンはまさにこれよと思いました。単純バカ? 軽くて薄くて程々の大きさで、いちいちシステム終了とかを待たなくてもバシバシボタンを押してテレビとかゲームみたいに終了できるのはいいです。仕事には使えませんが。


Ipad
未来はiPadくらいの大きさ・軽さで仕事できるといいなあ。


 


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天井が高くて残響がすごかった。


 

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2010.01.10

サンタクロースはゲス野郎(1982年)

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岩手県産の牡蠣です。

 新年なのにクリスマス映画。『ミックス・ナッツ』のオリジナル作品のビデオを見つけたので鑑賞しました。がーん。オリジナルの方が数倍面白いです。リュック・ベッソンが紹介するフランス映画ということで発売されたVHSシリーズの中の1本だったみたいで、冒頭に付いているリュック・ベッソン直々の解説によると「ここ三十年のフランスで一番人気のあるコメディ映画」だったそうです。監督はジャン=マリー・ポワレです。リメイク版のように不自然なところや意味がわかりにくいところもなく、イブのパリの夜の街の光から始まり、クリスマス早朝のパリの街角で終わります。そして強引にいい話でまとめられることもない、大人っぽいコメディでした。キャストは以下の通りです。

(フランス・オリジナル版)
ピエール(ティエリー・レルミット)
テレーズ(アネモーネ)
ジョゼット(マリ=アンヌ・シャゼル)
フィリックス(ジェラール・ジュニョ)
カチア(クリスチャン・クラヴィエ)
ムスカン夫人(ジョジアーヌ・バラスコ)
ザッコ(ブルーノ・モアノ)
↓↓(アメリカ・リメイク版)↓↓
フィリップ(スティーブ・マーティン)
キャサリン(リタ・ウィルソン)
グレイシー(ジュリエット・ルイス)
フィリックス(アンソニー・ラパーリア)
クリス(リーヴ・シュレイバー)
マンチニク夫人(マデリン・カーン)
ルイ(アダム・サンドラー)



 菓子はフランス版でも登場します。リメイク版のルイはウクレレを抱えていつも変な唄を歌っている男でしたが、オリジナル版におけるルイであるザッコはブルガリアの変な菓子をしつこく持ってくる男という設定でした。そのまずそうな菓子がみんなに避けられて、捨てられたり隠されたりする前に必ず何かトラブルを引き起こして活躍します。あの「クルッグ」とか「ドゥビチュシュ」という菓子は実在するのでしょうか? 脇に挟んで形を作るとか、浄化槽の匂いがするとか相当ひどいこと言われてます。

 リメイク版のイブのディナーは中華料理でしたが、オリジナル版では牡蠣と白ワインでした。カリフォルニアのクリスマスの中華はチグハグな面白さがありましたが、生牡蠣はパリのクリスマスによく食べられているみたいです。テレーズがビストロのようなところで牡蠣を買って持ち帰る丸い木の箱が妙に食欲をそそります。せっかく旬なので、わが家でも便乗して岩手産の牡蠣を食べました。

 牡蠣好きのピエールはテレーズがせっかく買ってきた白ワインに文句を付けて「やっぱりミュスカデの方が合う」とブツブツ言ってます。スティーヴ・マーティン演じるフィリップよりもティエリー・レルミット演じるピエールの方が、見るからにせこい男で、いかにもクリスマスを一人で過ごしそうなところがまたおかしかったです。



幻の奥松島牡蠣!宮城県三陸産 宮城東名・浜一牡蠣(かき)殻付きかき20枚入り



ドメーヌ ド ラ ルヴトゥリ /ミュスカデ セーヴル エ メーヌ シュール リー

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2009.08.05

ブロブ 宇宙からの不明物体(1988年)

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金髪の少年がズルズルとすする赤いゼリー。

 夏なので少しは「きゃーっ!」となる映画を見ようということになり、録画しておいた『ブロブ 宇宙からの不明物体』を見ました。私が富山の山奥に住んでいた幼児の頃に一番恐かったのは、ゾンビでも幽霊でも殺人鬼でも巨大生物でもなく「アメーバ」でした。それはTVでアメーバ映画を見たからです。あれは今から思えばスティーブ・マックィーンの『人喰いアメーバの恐怖』だったのだと思われます。『ブロブ 宇宙からの不明物体』はそれのリメイク版なのだそうです。チャック・ラッセル監督・脚本、フランク・ダラボン脚本作品です。


Blob
THE BLOB


 ある夜、アメリカの田舎町、アーバービルに隕石が落ちてきます。それを目撃した浮浪者の老人(ビリー・ベック)の手に謎の物体がくっついて離れなくなってしまいます。深夜の森の中でバイクをいじっていた不良のブライアン(ケヴィン・ディロン)が、自ら腕を切り落とそうとしている老人を止めると、老人は走って逃げて行き、メグ(ショウニー・スミス)とポール(ドノヴァン・リーチ)が乗っている自動車に轢かれてしまいます。病院に担ぎ込まれてベッドで寝ている老人の様子をポールが見に行くと老人の体に異変が起き、それをきっかけにアーバービルに大変な事件が次々と起きるというお話です。

 マイケル・ジャクソンのような髪型のブライアン役のケヴィン・ディロンはマット・ディロンの弟、ポールはドノヴァンの息子なんだそうですね。この若者たちの会話がチンタラしてて笑ってしまうのですが、ブロブの登場が金髪少年がズルズルとすするゼリーにつながったり、粉々に砕けた車のドアのガラスが粉雪が舞うスノードームにつながったり、場面のつながりが凝っている映画でした。私も真似して余っていたクレーム・ド・フレーズを使って真っ赤なゼリーを作り、夏なのでスイカも入れてみたところ、苺とスイカで「不味い」と言われてしまいました。

 大人になってしまった今となっては、アメーバより幽霊とか殺人鬼の方が恐くなってしまったことがよくわかりました。でも、アメーバが知らない間に近くにいるのが恐かった、という子供心はなんとなく思い出しました。しかもアメーバそのものというより咀嚼されている被害者の見た目が恐かった、という悲しい事実にも気付きました。

 最も印象的だったのは、この映画の冒頭部です。舞台のアーバービルは、冬のリゾート客でなんとかもっているさびれた町という設定なのですが、最初に映る町の風景はまさに廃墟。こういう町だから事件が起きたのか、それとも実はこのオープニング映像の廃墟こそ町の未来の姿なのか。味わい深い風景でした。IMDBを見てたら、ロケ地はルイジアナ州のニューオリンズの西にあるAbbevilleなのだそうですね。



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2009.06.17

ギャルソン!(1983年)

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リンゴとカボチャで作ったタルト・ノルマンド風。

 またまたレストランが舞台の映画。監督のクロード・ソーテと一緒に脚本を手がけているのが、トルシエの通訳を務めていたフローラン・ダバディのお父さん、ジャン=ルー・ダバディです。父さんもあんなにヒゲが濃いのかなあとついつい画像検索。そーでもないみたいです。



 主人公はイヴ・モンタン演じるアレックス。彼はタップダンサーの道を諦め、妻子とも別れ、今は遊園地の建設を夢見ながらブラッスリーのギャルソンとして働いています。フランス料理といっても、ギャルソンがテーブルから下げた皿を両手で抱えながら、店を出る客のためにヒョイと足をかけて器用にドアを押さえるようなカジュアルな店が舞台です。話し声やいい匂いや煙が充満している飲食店の前を通り掛ると、活気に誘われて私も混じりたいなあと思ってしまうことがありますが、この店もそんな感じでした。
 
 下記の本を読むと、この店のモデルはモンパルナスにあるラ・クーポールなのではないか?と書いてあり、「クレジットタイトルにもラ・クーポールの名前が出てきた」そうなのですが、DVDでは確認できませんでした。本当のところはどうなのでしょうか。



 アレックスの店では、もちろん美味しそうな料理がいっぱい出てきます。骨付き仔羊、レアーのパヴェ、ヒラメの串焼き、スズキのパイ詰め、羊の腹子、カレイのピストゥ添えなどなど。

 しかし店の料理はあまり映らなかったため、実は一番印象的だったのは、ギャルソン仲間のジルベール(ジャック・ヴィレル)の恋人、マリ=ピエール(マリー・デュボワ)が焼いたでっかいタルトでした。タルトと言われて思い浮かべるものより薄くて、面積がでっかくて、なんだかやたらと美味しそうなんです。セリフには「温かいタルト」としか出てこなかったのですが、フレッシュな感じのリンゴと黄色っぽいフィリングが乗っていたので、Tarte aux pommesやTarte Tatinというよりも、Tarte normandeのレシピに近い雰囲気だと思われます。 

 男の友情シーンにも美味しそうな食べ物が登場します。口うるさいシェフ(ベルナール・フレッソン)と彼にいびられて店を辞めると宣言したジルベール、その2人が仲直りする場面では、オーナーのおごりで皆でペリエ・ジュエのシャンパンで乾杯してました。そしてギャルソン仲間のマキシム(ニコラス・ヴォーゲル)が競馬でもうけた金で仲良しの同僚にご馳走する場面では、老舗レストランのラセールで食事してます。それを最後にアレックスとジルベールが店を離れることになる食事会でもあるのですが、正装したオヤジ6人が冗談を言いながら、幸せそうに美味しい料理を堪能し、友情に乾杯する姿にはちょっと感動してしまいました。

 いいですね~。パリの老舗店を目ざとくチェックしても、私はこういう映画や書物の中でしか知りません。私の一度だけのパリ旅行は一人だし金もないし慣れないしでパンをかじりながらの清貧旅行でした。次はもっと貪欲にいきたいところです。



ペリエ・ジュエ グラン ブリュット正規 箱付 750ml


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2008.04.15

モスクワは涙を信じない(1980年)

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適当に作ったボルシチ。具や作り方が適当でも美味しい。
日本における味噌汁みたいなもの?


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初めて見た&料理したビーツ。色が真っ赤で本当にきれいなんです。

 珍しいことに「生のビーツ」が手に入ったのでボルシチを作ってみました。生の状態でも真っ赤。汁も血が滴るようにあまりにも真っ赤。そしてまな板の上は惨殺現場のように派手だけど、味や香りは大根よりも控えめ。私のビーツの印象はそんな感じです。

 このボルシチを作った頃に見たのが『モスクワは涙を信じない』という、1980年に制作されたソ連映画です。すごい数のソ連国民がこの映画を観たうえに、1981年のアメリカのアカデミー賞外国語映画賞を受賞したそうです。

 映画の中にもボルシチのようなスープを飲むシーンが出てきました。あと、「サモワール」というロシア独特の湯沸かし器(?)のようなものでお茶を飲むシーンも印象的でした。

 ソ連の映画というとお腹いっぱいの見応えのある芸術映画ばかりと思うかもしんないですが、この映画は乱暴に言ってみれば「トレンディードラマ」みたいな話。こういうのも意外と面白かったですよ。




 ボルシチのレシピは下の本を参考にしました。表紙や中身がかわいいだけでなく、ロシア文学者の沼野恭子氏が共著なので読み応えのある本です。

【楽天】富良野産ビーツ3個セット(S&M&L)

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