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2009.11.07

家族の肖像(1974年)

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サラミナポリとサラーメ・フェリーノ・ペラート。サラミ祭り。

 『ズーランダー』の夜食を真似たくてメロンを買ったので、せっかくだから他にメロン映画がないかと考えたのですが思い出せません。『グルメのためのシネガイド』(ハヤカワNF文庫)を読んでいると、田中英一さんが『家族の肖像』に生ハムでメロンを巻いたものが出てくると書いているので、「そんなシーンあったっけ?」と思って確認すると、ピンク色っぽい食べ物がボンヤリ映るものの料理は特定できませんでした。それとも私の見たVHS版にはなくて、デジタルリマスター無修正完全版DVDでは確認できたりするのでしょうか!?



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グルメのためのシネガイド (ハヤカワ文庫NF)


 メロンは出てこなくても、『家族の肖像』に出てくる教授(バート・ランカスター)の家の台所には目が釘付けになります。ヴィスコンティは言わずと知れたミラノ公国の支配者の子孫で、モドローネ公爵の息子で、大製薬会社カルロエルバの創業者の姪の息子で正真正銘の金持ちセレブ様です。
 美術品と骨董品に凝り、朝食をサービスするボーイのトレイにどんなものが乗っているか陶器、トースト、バター入れとバターナイフ、ママレード、花、銀の食器に至るまでシナリオに詳しく書いたとミケランジェロ・アントニオーニが証言していたり、「若かった頃、私は演劇よりも映画にひかれていた。監督よりも装置家になりたかった」と言っていた人です。そういう人が描く台所と言われたら、興味ありますよね!


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ヴィスコンティ―評伝=ルキノ・ヴィスコンティの生涯と劇的想像力 (1983年)


 教授が空腹の若者たちをまず案内するのは、大小さまざまなハムやソーセージ、にんにく、唐辛子が天井からぶらさがっている貯蔵庫です。棚にはデカいチーズの塊、藁苞入りのキャンティの瓶、何かを漬け込んでいる大きな瓶。そして床には大きな甕がいくつも並んでいます。何が入っているのでしょうか。

 次に一同は台所に移動し、家政婦のエルミニア(エルヴィラ・コルテーゼ)がデカいパンを薄く切り、教授がそれにチーズとサラミを挟んでサンドイッチを作ります。立派な晩餐室があるのに、狭い台所で赤ワインを飲みながらサンドイッチを頬張る登場人物たちは、いつのまにか和やかな雰囲気に。心を閉ざして孤独に暮らす教授も珍しく饒舌になり、謎めいた過去について語り始めます。台所の壁は緑色の菱形模様のタイル貼りでかわいいです。天井に近い棚に等間隔に並べられた銅製の鍋や型などの調理器具も、ピカピカに磨かれて、美術品のように見えます。

 この台所でもう一つ気になるのは右奥の方にいるメイドです。エルミニアは今晩のディナーのメニューは「西洋アザミのムース」と言うのですが、右奥にいるメイドをよく見ると、まさにアーティーチョークの葉?(花弁?)を剥いています。日本のスーパーではあまり見かけないし、調理をする機会もないので、最初は彼女が何をやっているのかわかりませんでした。

 一緒に物を食べているときと芸術の話をするときだけは教授も、ドイツの学生運動家(ヘルムート・バーガー)とも、左翼かぶれの若者(ステーファノ・パトリーツィ)とも、軽薄な伯爵令嬢(クラウディア・マルサーニ)とも、自分勝手な伯爵夫人(シルヴァーナ・マンガーノ)とも言葉が通じているような気がします。しかし和やかな台所で交わされた晩餐の約束は、しっかりすっぽかされてしまいます。後に果たされる晩餐も、最後は喧嘩で終わります。ヴィスコンティ映画には晩餐シーンが多いですが、食事を共にすることで登場人物が心を通わせるような単純なことは描かれないです。彼は以下のようなことを言っていたそうです。

人生は蜂の巣で、各人はそれぞれの小さな穴のなかに暮している。しかし女王蜂のいる中心部でみんなが出会う。そしてその時がドラマの発生する時だ。


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ルキーノ・ヴィスコンティ―ある貴族の生涯 (1982年)


 サラミでサンドイッチ。見てるとヨダレが出てきたので真似して買ってきました。太いサラミはちょっと柔かいタイプのサラミナポリです。細い方はしょっぱくて固いサラーメ・フェリーノ・ペラートです。フェリーノ地区の皮なしタイプのサラミという意味みたいです。パンは、シチリアの海塩、セモリナ粉入りのプーリア地方のものです。



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